弥縫録

その場しのぎで生きてく中年の記録

フライング気味に風薫る

仕事中だというのに、うっかり気がそれることがある。

 

思いの外近くで止まった緊急車両とか。

異常な長さのクラクションとか。

近所の幼児が、意味もわからず振っていく手を見つけたときとか。

 

立派な中年の私ですから、この流れでほっこりと文章を仕立て上げられたらいいんですけどねぇ。

 

数日前のこと。

 

太陽の気まぐれで、一日の気温差が10度をこえる晩春です。

 

私の仕事は、みなさんが目覚ましから叩き起こされる頃にはもう始まっています。

店のシャッターをあけ、道交法とのせめぎあいでギリギリをついていく程度に陳列棚を広げていきます。

 

市道、、だと思っていたごく狭い店舗前の道路が、どうも国道らしい。酷い道とかいて国道ということもありますし、国の事業も多岐にわたるということでありますな。

 

でね。そんな時間から働いておりますし、ごく至近に路面電車の駅もありますし。通勤通学の方が、急ぎ足であるいは駆け足で、時には必死の形相で疾走していくわけです。

 

その中のひとり、女性の歳はわかりませんから、ここは「妙齢の女性」としておきますが、だいたい同じ時間に店の前を歩いていきます。

 

土曜日には見かけないところを見ると、週休二日制がきっちりしている職場なのでしょう。

 

その人がこの頃、晩春の今頃ですよ。

マキシワンピースなんですね。ラップワンピ、という言い方もあるそうですが、要するにそれです。

柔らかい生地の、体の線が出やすい、上から下まで一枚のワンピースを着て、ヒールでコツコツと、風を巻きながら颯爽と歩いていく。残していく香りがしばらく鼻をくすぐりますから、それなりに香水も被ってのご出勤でしょう。

 

いい女だなぁ、、と。うっかり目を奪われるんですが、数日前。

 

開店作業の手は止めず、その日もうっかり目を奪われていたのですが、見送る後ろ姿がちょっとドキドキでした。

 

猿の頃なら尻尾が出ていたであろう場所を中心に、角度が違うベンツのマークみたいな陰影がね。見えたわけですよ。

 

反面、当然見えるはずの線がない。どの線か、と言うのを書くのがためらわれるのですが、凝視しているわけじゃないんですからね。これだけは断ったうえで話を進めますが、パンティーライン。下着を履いているのなら当然、見えるはずの線がない。

 

逆さベンツのシルエットと、見えないパンティーライン。。。あ。

 

確認する術はありません。厳密に言えばありますが、実行すると下手すればお縄です。

 

だから、これはもう妄想の類なのですが、あの妙齢の女性。これから一日仕事をするのに、Tバックを履いて出勤しとおる。これに思いが至った瞬間の衝撃たるや。

 

我ながら、よくちゃんと一日仕事ができたなぁ、と。感心するほどの衝撃でした。

 

何業の方なんでしょうねぇ。事務職、、営業職、、販売、、うん、昔風に言えばハウスマヌカンならわからんではない。

 

私は長崎の人ですから、ああいう女性と出会うチャンスは、夜の思案橋にしか無いと思っていましたが、チラ見とはいえ平日の早朝にぶん殴られるような衝撃を受けられるとは。

 

経年劣化と思いたくはありませんが、年齢が半分の頃に比べたら、性衝動は凪に近くなってきております。しかし。そんな私でも、通勤している女性の姿ではっとすることもあるんだなぁ、と。

 

世を拗ねて、枯れている場合ではない。

もっとこう、なにかしら。適切な言葉は思い浮かびませんが、動いてみるのもいいんじゃないかな、と思いました。

 

とはいえ。松岡修造みたいな励まされ方をされると億劫になりますから、ガンバルの適温は「引きたいタイミングで踏みとどまる程度」です。

 

「もう若くないんだから」と「まだ老け込む歳じゃない」

 

この中間の、ちょうどいいぐらいを瀬踏みしながら、人生に彩りと潤いをなんとかしたいと思う、今日このごろであります。

善行、ビジネスライク

数日、父がよく咳をしておりました。

年齢もそれなりなので、よくよく調べていただいたところ肺炎との診断がでました。

 

即入院。一週間ほどを見込む、とのことです。油断はできませんが、おそらくは無事に帰ってくるのでしょう。

 

私はその時仕事場におりました。付き添いの妹から連絡が入ったのですが、知らされた後はもうどうにもこうにも。地に足がつかず、大しくじりをしないようにするだけで精一杯でした。身内の入院というのはどうにも、心が掻き乱れます。

 

そんなもやもやした気分で帰宅したのですが、家に戻る直前に見つけた一つの財布。

 

はて、、?・・・あ!

 

私はピンときましたよ。これはアレだ、善行チャンスだ。

 

善因善果、悪因悪果

 

良いことには良い報いがある「確率が高い」と、信じ込めるのは私の良いところです。

そう信じたらほら、気が楽でしょう。最悪、色々だめだとしても、そのときに悲嘆に暮れたら良いのです。それまでは、あくまで朗らかに生きていたいのです。

 

で、落ちていた財布を軽く開いたら、カード類がちらほらと。これはもうガチ財布で確定です。落としたら困るものでしょう。

 

それがわかれば後は早い。早速近くの交番に向かい、拾得物の届けをすることにしました。

 

若いお巡りさんがパソコンでなにか作業をしている、薄暗い夕方の交番。何も悪いことをしていないので、気後れせずに入っていきます。

 

カクカクシカジカ、、事情を説明すると、早速お巡りさんは財布の中身を改め始めます。

するとまぁ、、なんというか。十万円以上入ってましたよ。知らないから気軽に届け出た財布ですが、思いの外、落とし主が真っ青になっている財布でした。これは良いですよ、善行ポイントが激アツです。

 

カード類もなかなかの量入っていたおかげで、書類手続きに時間がかかりましたが、なんとか無事に拾得物届ができました。

 

「権利とかどうされますか?」

 

拾得にかかった費用を請求する権利と、謝礼を請求する権利と、持ち主が現れない場合にもらえる権利。これをどうしますか、という問いです。

 

正確には13万4千円。カード類がしっかり入っておりましたし、金額もかなり多い。落とし主が見つからないということは無いだろう、という打算は当然あったうえで、私の答えは

 

「全部いりません。連絡先もお伝えいただかなくて結構です。持ち主が見つかると良いですね(ニッコリ)」

 

完璧に決まりました。人の為にした善ですが、やらぬ善よりやる偽善です。

思ったよりも長くかかった手続きを終え、すっかり夜の帳が下りた道を帰ります。

 

家の近くまで来ると、明らかに何かを探している人の姿が見えました。そこでまた、私はピンときました。

 

「もしもし、ひょっとしてお財布をお探しですか」

 

声をかけてみると、正しく財布の持ち主が悲壮な顔で暗い路上に視線を落としているのでした。

 

事の顛末を説明し、警察に届けてあるから受け取りにいけば大丈夫ですよ、と伝えると、ああ人間はこんなにも表情が明るくなるものか、と感心するほど晴れやかな笑顔が、宵闇を心なしか明るく照らすようでした。

 

凄まじい速さのスピード解決。

金額も大きかったし、声をかけたのもポイントは高かっただろう。

 

父の体調が順調に回復するための対価として、この善行が使われると良いなぁと。

 

誰も損した人がいないんだから、多少損得勘定で良いことをしたってバチは当たらないはずです。

しかし、何かしら尊いご存在が偽善が気に入らないと思し召し、何かしら当てたいというのであれば、ぜひともtoto BIGの方をお願いしたいと考えている、色々台無しな私でありました。

寺内貫太郎のウイスキー

石川さゆりのアレ。アレを知っていて知らないふりもできないが、と思いつつ話をすすめますが。

 

プロレスラーにつきものといえば、必殺技と入場曲です。

必殺技に関しては専門の皆さんにおまかせするとして、入場曲。

 

例えば、スパルタンXが流れてくると、出てくるのは三沢光晴です。

Jならばジャンボ鶴田

王者の魂なら「世界の」ジャイアント馬場であります。

 

ウイスキーが、お好きでしょ

お好きなのではありますし、井川遥がママのハイカラを出す居酒屋なら毎週通うのでありますが、あれはニュアンスが違う。

近いのはむしろ、少し愛して長く愛しての、レッド。大原麗子であります。

 

入場曲を持っているウイスキーといえば、我が国では、オールドであります。

 

嫌う人も多い。ファンも多い。毀誉褒貶の激しい、我が国を代表するウイスキー。それが、サントリーオールドであります。

 

現行のオールド。私は好きですよ。バランスが素晴らしく、良くも悪くも平均点をきっちり取ってくる優等生キャラ、という印象ですね。

 

ロックでも良い。ソーダでも良い。でも、水割りにすると夜の街の味わいを想起するのは、古き良き伝統の力なのかもしれません。

 

國村隼のCM。調べたら2008年だそうですけどね。娘役が伊藤歩、私の一学年下の魅力的な女優さんであります。

 

そのシリーズがねぇ、、なんとも言えずぐっと来るわけです。

オールドって、注ぐと「トクトク、、」と音がなる形状の瓶なのですが、それをまたいい具合に使ってねぇ。

 

もっと飲みやすいウイスキーはある。

ピートガンガンのウイスキーもある。

もっと安く気軽なウイスキーもある。

 

でもね、入場曲があるウイスキーというと、やっぱりこれ。サントリーオールドなのであります。

 

うまいかまずかなんてどうでも良くて、気分がいいかどうか。その点をフォーカスすると、何故かスルッと入ってくるサントリーオールド。

 

ロックで飲むべきウイスキーなんでしょうが、酔っ払っちまいますからね。

でも、ここぞのときにはぜひ、オン・ザ・ロックで飲みたいウイスキー

 

「オールド、ロックで」なんてセリフが浮かないような、そんなおとなになりたいと願いつつ、どんどん四十路のベテランになっていく私でありました。

ずぼら、理屈をこねる

ちょいと野望用がありまして、私は間違いなく、東京へ行きます。飛行機も宿も取ってあるんだし、休みもとってあるし。

 

だからね、私は思うんですよ。

 

おみやげはアマゾンで買ってもいいんじゃないか

 

おそらく、アマゾン用に別ラインで商品を作っているということもないでしょう。店舗で買うのと大差はないはずなんです。

例えば、羽田のショップで店員さんから受け取ったおみやげと、運送屋さんが持ってきてくれた「みやげ」の中身が、劇的に違うというのなら大問題です。

しかし、そんなことがないのであれば、私が東京まで行ったという事実が存在する以上、間違いなく東京みやげなのです。

 

こういうことです。

仮に、羽田で買ったおみやげを、まとめて家に発送するとしましょう。

この場合、そこでやった行為は「対面で商品の購入手続きをした」だけ。

この部分を、インターネット経由でやるだけです。

 

もし、私が東京に行っていないにも関わらず、アリバイ的にみやげを入手したというのであれば、これは問題です。

東京に行っていない人は、東京みやげを買えないんです。品は同じでも意味が違います。

 

しかし、実際に東京に行っているのであれば、東京みやげを買う資格が付与されます。

そして、そこで売っているものと同じものを、対面購入以外の方法で手に入れたとしても、それは当然「東京みやげ」ということになるのではないかと思ったんですね。

つまり、何が言いたいかというと、土産を選んだり買ったり運んだりする手間を省きたいので、屁のような理屈を思いついて発表してみた、と。そういう話です。

 

私としては、割りと真面目にこの話をしているんですが、人によっては「それは違うんじゃないか。なんとなく」という意見を持つ場合もあるでしょう。なんとなく、と言われると、俄然説得意欲が減る性分なので、そこに配慮は必要ですね。

 

でもねぇ。。

もう頼んじゃいましたから。

 

かくなる上は、面倒事を避けるために気取られてはいけません。

モノの到着は、東京に出発する当日。東京みやげを家で受け取ってから、東京へ飛び立つという旅程になっております。

 

天下のとらやが、わざわざお取り寄せ用の羊羹だけ手を抜いて作るなんてことをするわけがない。だからきっと、これで問題はないのです。

 

バタバタしながらさほど時間もかけず、とりあえず、で選ぶみやげよりも、じっくり時間をかけて事前に発注しておくおみやげのほうが、思いって詰まっているんじゃないかなぁって。ぼく思うんだ。

 

なにを言ってみたところで、私自身が「省ける手間は全部省きたい」という動機からしていることだと知っていますから、紡ぐ言葉は全て虚しいだけ。

 

まぁ、いいじゃありませんか。餞別をもらったわけでもないのに買っていくみやげですよ。

とやかく言われる筋合いはない、、のでありますが、そこはそれ。

 

話の辻褄を合わせるべく、きっと羽田空港のとらやの店舗は一応確認しちゃうんでしょうね。

そんな自分、嫌いじゃないので日々が楽しい私でありました。